成年後見制度について

私は近畿税理士会の成年後見相談室の相談員です(おそらく5年くらい在籍)。
成年後見制度は介護保険の導入時期と同じく2000年から導入された制度で
高齢化が進む日本において、認知症など判断能力が不十分な人に代わって財産管理などを
支援する制度です。

成年後見制度は判断能力が低下する前にご自身の意向によって契約をする任意後見
判断能力が低下した後に裁判所に申立てをして後見が開始する法定後見の2種類があります。

実は成年後見人に選任されるものは全体の81.9%は親族以外の専門家で構成されています。
(令和5年1月~12月家庭裁判所の成年後見制度運用状況から)
また、その中でもその殆どを司法書士と弁護士でしめていて、なんと税理士はランク外!

本来は顧問先との長い付き合いを得意とし財産管理はお手の物の税理士の存在は薄い。
これには税理士自身が成年後見制度について税理士の業務外として
受注していないことに原因がある(と私は勝手に思っている)。

私自身当時研修等を受けて家庭裁判所の後見人の選任名簿に登録されることをしていた時
色んな方から税理士なのに珍しいね、と言われた。(いまだに言われる)
ただ、相続を扱う以上「認知症」へのリスクを考えずに生前対策など行えないのは周知の事実で、
最低限知識だけでも持っておくことは相続をやる以上当たり前だと思っている。

先日、前述した成年後見相談室の相談員の当番の日に、近畿税理士会所属の税理士さんからの相談が入った。
顧問先さんからぜひとも自分の任意後見人になって欲しいと言われ任意後見について教えて欲しいとのこと。
とうとう税理士さんの中でもこのような案件がくるようになったのか、と正直嬉しかった。

家族以外で自分の将来をこの人に任せたいと言われるのは本当に税理士冥利につきる
また、ご依頼者さんにとっても、全く知らない士業さんよりは、これまで長い付き合いをしてきた
税理士さんにお願いしたいのは当然のことで、安心にも繋がる。

実は私も任意後見人としての経験がある
税理士として任意後見人の経験があるのは大変珍しいらしく、実は近畿税理士会で税理士向けの研修講義の
講師として9月に任意後見の経験談をお話するぐらい。(税理士むけなので正直かなりのプレッシャー)
制度をしっかり理解すれば任意後見人の業務は税理士に大変向いていると個人的に思う。
これからもっともっと税理士に任意後見の依頼がきたらいいのに。

本日はここまで。

【参考】
近畿税理士会 成年後見相談室
成年後見制度の無料相談 | 近畿税理士会 (kinzei.or.jp)




投稿者プロフィール

榎本 美乃里
1977年生まれの蛇年。一見アクティブな性格で活発と間違われますが、全くの真逆で家に籠るのが大好き。税理士は会社務めの方などには馴染みのない職業ですが実はそんな方々にこそ税理士を知ってもらいたい、との思いでブログを書くことにしました。相続や不動産の売却などの際に「あっ税理士に相談!」と思い出して頂けたら嬉しいです。